おうちの子の口内環境は大丈夫ですか?

歯周病とは
一般的には、”歯石”が気になる飼い主様が多いと思いますが、歯石は口臭の原因になるだけで、実は歯周病の直接の原因ではありません!歯周病の原因は、歯磨きによって取り除ける”プラーク”なのです。
一方で、歯肉炎は歯周病の手前の段階で、可逆性、つまり治療により治せる歯肉の炎症です。
歯肉炎の段階で、スケーリングをはじめとした適切なデンタルケアを行うことで、健康な歯に戻せるのです!
歯周病の治療
そのため、歯周病の治療は、これ以上悪化させないようにすることが目的となります。
歯のレントゲンやCTを撮って、状況に応じた処置をしますが、重度の歯周病になると抜歯(歯を抜く処置)をしなければなりません。
「歯がなくなってご飯が食べられるのか心配」という飼い主さんも多いかと思いますが、感染して骨が溶け始めている歯を残しておく方が痛みを伴ったり、さらなる歯周病の悪化を招いてしまうので、適切な抜歯は必要な処置です。
また、抜歯して歯がなくなってしまっても、犬や猫には大きな問題はありません。本来、犬と猫の歯は骨から肉を引きちぎるための”裂肉歯”と呼ばれる構造をしているので、ちぎり取った肉は丸飲みします。咀嚼するための歯ではないので、噛んで食べているように見えるのは、たまたま歯に当たっているだけなのです。ドライフード程度の大きさでしたら問題なく丸飲みできますので、歯がなくなっても今まで通り食べることができます。
ただし、大きすぎる粒のフードや、硬い食べ物(デンタルガムやジャーキーなど)は、喉に詰まらせてしまうかもしれないので、食べづらそうにしていたら与えるのを中止したり、フードをふやかすことも考慮しましょう。
歯周病の治療は、ほとんどの場合で全身麻酔が必要です。
歯を抜いた後は歯茎を縫ったりすることもあり、抜歯直後はやはり痛々しいもの。
そうならないように、歯周病になる前にケアをしてあげることがとても大切ですよ。
スケーリング
歯石は一度できてしまうと、歯磨きでは落とせないので、定期的なスケーリングは予防歯科にとってとても重要です。
スケーリングの際には、歯周ポケットの内側の処置(=ルートプレーニング)や歯の表面を磨き上げる処置(=ポリッシング)も同時に行うことで、歯肉炎治療・歯周病の進行予防・口臭軽減など、様々な効果が期待できます。
それは、スケーリングの間、人間のように長時間口を開けたまま動かないでいてくれないからです。
”無麻酔歯石除去”という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、麻酔なしで歯石を取ってもらえる!と喜んではいけません。無麻酔でやる歯石除去は、歯の表面しかできないことがほとんどですし、動物たちを押さえつけて処置するので、大きなストレスを伴います。見た目だけきれいになっても歯周病は進行してしまっていたり、処置に恐怖を覚え、その後の歯磨きが困難になってしまうこともしばしば。。


ホームデンタルケアの重要性
せっかくスケーリングで歯をきれいにしても、おうちでのケアをさぼると1カ月もしないうちに元通り、、なんてことも!
そうならないためにも、ホームデンタルケアはとても重要です!!!
焦らず、ゆっくりと歯磨きのステップアップをすることで、最終的には1日1回の歯磨きを習慣化しましょう。
歯垢は3~5日で歯石に変わります。歯磨きをさぼった分だけ、歯石が蓄積してしまうと思ってください。
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さいごに
歯肉炎なら治療とケアで健康な状態にもどせますが、歯周病になってしまうと治すことができません。
デイリーなおうちでのケアをしっかりして、なるべく定期的に診察で歯の状態を診てもらいましょう。
状況に応じて、スケーリングなどの処置も早めに検討することをお勧めします。
参考文献


























