カテゴリー
コラム 歯科

犬の歯磨きはどのくらいの頻度がおすすめ?子犬の頃からお家でしっかりデンタルケア

「犬の歯磨きはどのくらいの頻度でやった方がいい?」
「犬が歯磨きを嫌がるけど毎日やらないとダメ?」
「子犬の頃から歯磨きはした方が良いの?」
犬の歯磨きを始めるタイミングや頻度でお悩みの飼い主さまは多いでしょう。
今回は犬の歯磨きについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、日々のデンタルケアに役立ててください。

青空と白い柴犬

デンタルケアが大切な理由

3歳以上の犬では80%、1歳以下で体重5kg以下の小型犬では90%は歯周病になっているという報告があるほど、歯周病の罹患率は高いです。
犬の寿命が伸びていることから、犬の歯周病が悪化することも多いでしょう。


歯周病は放置すると歯の周りだけでなく、心臓や腎臓など全身に負担がかかる可能性があります
他にも、歯の根本に膿が溜まり鼻に繋がってくしゃみや鼻血が止まらなくなったり、目の下から膿が出てきたり、顎の骨を骨折したりと、さまざまな悪影響に繋がります。
これらを予防するためにデンタルケアは重要です。

犬の歯周病はどうやって発生する?

歯周病とは、歯の表面に付着している歯垢を放置することで歯の周りの環境に炎症や破壊が起こる病気のことです。
歯垢は、食べかすなどが養分となって繁殖した細菌やその代謝物を指します。
歯石とは、歯に付着した歯垢が石灰化して石のように固くなったものです。


歯垢が歯石になるまで、犬では3〜5日、人では14〜28日かかります。
歯垢から歯石になってしまうと歯の表面が凸凹になり、このうえにまた歯垢が積み重なっていきます。
歯垢は歯磨きで落とすことができますが、歯石になると歯磨きでは落とせません
歯石を除去するには全身麻酔をかけて歯石除去が必要になります。


また、犬は人と違って口の中の環境がアルカリ性です。

虫歯は酸性にかたよるとできやすいため、犬では虫歯ができにくいと言われています。
一方で、歯周病菌が増えやすい環境でもあります。

診療予約専用LINE 24時間受付中

犬の歯磨きは毎日行うのが理想的?

犬の歯磨きは毎日2回行うのが理想的です。
しかし、犬の気分や仕事の都合で毎日は難しいことが多いと思います。
犬では歯垢から歯石になるまで3〜5日かかるため、その間に一度は歯磨きをしてあげると良いでしょう。


長時間大人しくできない犬では、部分的に少しずつ行うのもおすすめです。
歯石になってしまうのを防ぐために、特定の歯に対する歯磨きは3〜5日以上間隔を開けないようにしましょう。
歯磨きがストレスにならないよう、犬の性格や生活リズムに合わせて取り組むことが大切です。

犬の歯石はどこにたまりやすい?

汚れやすい歯や、磨き残しの多い歯に汚れがたまりやすいため、歯磨きのときは重点的に磨くと良いでしょう。
犬歯の裏側も磨き残しがちな部分に含まれます。

汚れやすい歯、磨き残しがちな歯

子犬の頃からデンタルケアを始めた方が良い?

乳歯の時期からデンタルケアのトレーニングをすることで習慣化しやすくなります
乳歯の生えている時期は社会化期でもあり、この時期に体験したことには順応しやすいです。
「乳歯はどうせ抜けるから」とデンタルケアは怠らず、子犬の頃からデンタルケアの練習をしておくことがおすすめです。


ただし乳歯から永久歯に生え変わる時期は、歯がグラグラしたり歯肉に炎症が起きたりすることもあるため、無理なケアは避けましょう

人間の歯磨き粉はNG?

犬には犬用の歯磨き粉を使用しましょう。
人間用の歯磨き粉にはキシリトールなど、犬には適さない成分が含まれていることが多いです。
犬用の歯磨き粉にもキシリトールが含まれる場合がありますが、犬に害の無いよう少量だけに調整されています。
キシリトールは適量であれば犬にとっても歯周病予防効果が期待できます。


しかし、誤った量のキシリトールを犬が摂取すると中毒が起こる可能性があり、危険です。
犬のデンタルケアをするときは人間用ではなく、必ず犬用の歯磨き粉を使用しましょう。

歯磨きをしない方が良い場合は?

口の中の状態によっては歯磨きをしないほうが良いケースもあります。
以下のような場合は、歯磨きをする前に一度動物病院で相談することがおすすめです。

 ・口の中に病気がある
 ・歯肉が腫れている
 ・口の中で出血がある
 ・歯周病が重度
 ・子犬で乳歯が抜けそう


とくに口の中に病気があったり腫れている場合は痛みを感じやすく、その後のデンタルケアを嫌がることがあります。

歯周病が重度の場合、先に治療をしてから自宅で積極的に歯磨きをした方が良いでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q.犬の歯磨きはどのくらいの頻度がいい?
A.3〜5日に1回は歯磨きができると良いです。
犬では歯垢が歯石になってしまうまでに3〜5日かかると言われているため、その間に一度は歯磨きをしましょう。
理想的には毎日2回歯磨きを行えると良いです。

 

Q.子犬を飼い始めた。歯磨きはいつから始めればいい?
A.乳歯が生え揃った時期から歯磨きのトレーニングを始めましょう。
乳歯の生えている時期は社会化期でもあり、この時期に体験したことには順応しやすいです。
小さい頃から歯磨きに慣らすことで成犬になっても歯磨きを嫌がりにくくなります。

 

Q.犬の歯石は歯磨きでなくなる?
A.一度ついた歯石は歯磨きでは取れません。
歯石になる前の歯垢の時期に歯磨きをすることで歯石になるのを防ぐことができます。
歯石になってしまうと、全身麻酔下でスケーリングが必要になります。

まとめ

犬の歯周病罹患率は非常に高く、年齢を重ねて徐々に悪化することも多いです。
全身に悪影響を及ぼすこともあり、歯磨きを習慣化することはとても大切です。
歯垢から歯石になるまで犬は3〜5日かかるため、その間に一度は歯磨きをしてあげると良いでしょう。
子犬の頃から歯磨きに慣れさせておくことがおすすめです。


歯周病が重度の場合などは歯磨きをせずに一度動物病院で診てもらった方が良いケースもあります。
当院では愛玩動物看護師によるデンタルセミナーも開催しています。
デンタルセミナーの詳細はこちらから

犬の歯磨きでお悩みの際はお気軽にご相談ください。

ペットの健康に関するブログ多数掲載中

お友達追加で診療の予約を簡単受付

 

この記事の監修獣医師
院長 脇谷俊佑
獣医師SW

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業
大阪市内動物病院 勤務
城東鶴見どうぶつ病院 開院
近畿動物医療研修センター 画像科研究生
獣医教育・先端技術研究所(IVEAT)腹部超音波検査研修 修了
日本獣医がん学会 所属

 

大阪市城東区鶴見区の動物病院

城東鶴見どうぶつ病院

カテゴリー
お知らせ 歯科

侮るなかれ!本当に怖い歯周病のはなし

3歳以上の犬猫の約80%が歯周病を罹患していると言われています。
おうちの子の口内環境は大丈夫ですか?
 
歯周病を正しく理解して、予防歯科を実践しましょう。
歯磨きをする柴犬

歯周病とは

歯周病は、歯を支持する歯周組織(歯根膜、歯槽骨、歯肉、セメント質)が破壊・吸収されることで歯を失う進行性の炎症性疾患のことです。簡単に言うと、プラーク(=歯垢)中の歯周病細菌が原因となり、顎の骨が腐って溶けてしまう病気なのです。
一般的には、”歯石”が気になる飼い主様が多いと思いますが、歯石は口臭の原因になるだけで、実は歯周病の直接の原因ではありません!歯周病の原因は、歯磨きによって取り除ける”プラーク”なのです。
 
また、歯周病は悪化すると、口腔鼻腔瘻や顎の骨折などの重篤な症状を引き起こしたり、血行性または免疫反応を介して遠隔器官(腎臓・心臓・肝臓)に影響を及ぼすこともあります。お口のトラブルが全身トラブルを引き起こす可能性があるというのは、なんとも恐ろしい事実だと思いませんか。

一方で、歯肉炎は歯周病の手前の段階で、可逆性、つまり治療により治せる歯肉の炎症です。
歯肉炎の段階で、スケーリングをはじめとした適切なデンタルケアを行うことで、健康な歯に戻せるのです!

歯周病の治療

進行した歯周病を治すことはできません。溶けてしまった顎の骨を元通りにする技術は今の獣医療にはないのが現状です。
そのため、歯周病の治療は、これ以上悪化させないようにすることが目的となります。
歯のレントゲンやCTを撮って、状況に応じた処置をしますが、重度の歯周病になると抜歯(歯を抜く処置)をしなければなりません。

「歯がなくなってご飯が食べられるのか心配」という飼い主さんも多いかと思いますが、感染して骨が溶け始めている歯を残しておく方が痛みを伴ったり、さらなる歯周病の悪化を招いてしまうので、適切な抜歯は必要な処置です。
また、抜歯して歯がなくなってしまっても、犬や猫には大きな問題はありません。本来、犬と猫の歯は骨から肉を引きちぎるための”裂肉歯”と呼ばれる構造をしているので、ちぎり取った肉は丸飲みします。咀嚼するための歯ではないので、噛んで食べているように見えるのは、たまたま歯に当たっているだけなのです。ドライフード程度の大きさでしたら問題なく丸飲みできますので、歯がなくなっても今まで通り食べることができます。

ただし、大きすぎる粒のフードや、硬い食べ物(デンタルガムやジャーキーなど)は、喉に詰まらせてしまうかもしれないので、食べづらそうにしていたら与えるのを中止したり、フードをふやかすことも考慮しましょう。

歯周病の治療は、ほとんどの場合で全身麻酔が必要です。
歯を抜いた後は歯茎を縫ったりすることもあり、抜歯直後はやはり痛々しいもの。
そうならないように、歯周病になる前にケアをしてあげることがとても大切ですよ。

診療予約専用LINE24時間受付中バナー

スケーリング

抜歯まではいかないけれど、歯石が十分に蓄積しまった歯はスケーリング処置を行います。
 
スケーリングとは、スケーラーという機械を用いて、プラークや歯石を除去することをいいます。
歯石は一度できてしまうと、歯磨きでは落とせないので、定期的なスケーリングは予防歯科にとってとても重要です。
スケーリングの際には、歯周ポケットの内側の処置(=ルートプレーニング)や歯の表面を磨き上げる処置(=ポリッシング)も同時に行うことで、歯肉炎治療・歯周病の進行予防・口臭軽減など、様々な効果が期待できます。
 
犬や猫のスケーリングは、一般的に全身麻酔下での処置になります。
それは、スケーリングの間、人間のように長時間口を開けたまま動かないでいてくれないからです。
”無麻酔歯石除去”という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、麻酔なしで歯石を取ってもらえる!と喜んではいけません。無麻酔でやる歯石除去は、歯の表面しかできないことがほとんどですし、動物たちを押さえつけて処置するので、大きなストレスを伴います。見た目だけきれいになっても歯周病は進行してしまっていたり、処置に恐怖を覚え、その後の歯磨きが困難になってしまうこともしばしば。。
 
全身麻酔に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、せっかくスケーリングをするならば、きちんとした処置を受けましょう。
当院でのスケーリング処置症例(犬・13歳)の口の写真 before当院でのスケーリング処置症例(犬・13歳)の口の写真 after
※写真は当院でのスケーリング処置症例(犬・13歳)
 

ホームデンタルケアの重要性

歯周病の予防に一番大切なのは、日々のおうちでのケア(=ホームデンタルケア)です
せっかくスケーリングで歯をきれいにしても、おうちでのケアをさぼると1カ月もしないうちに元通り、、なんてことも!
そうならないためにも、ホームデンタルケアはとても重要です!!!
 
小さいころから口腔内を触られることに慣れてもらい、「歯磨き=ご褒美がもらえる楽しいこと」と覚えてもらうことが一番大切で、そのトレーニングを適切にしたかどうかが、ホームデンタルケアの成否を左右します。

焦らず、ゆっくりと歯磨きのステップアップをすることで、最終的には1日1回の歯磨きを習慣化しましょう。
歯垢は3~5日で歯石に変わります。歯磨きをさぼった分だけ、歯石が蓄積してしまうと思ってください。

 
歯磨きは必ず段階を踏んで慣らしてください。突然初めから、歯ブラシを許容できるわんちゃん・ねこちゃんはほとんどいません。少しでもできたらご褒美をあげて、たくさん褒めてあげてくださいね。何度もいいますが、無理なくステップアップすることが成功のカギですよ。

デンタルセミナー

当院では、わんちゃんのための愛玩動物看護師による”デンタルセミナー”を開催しています🦷
歯磨きが家で出来るようになるために、私たちと一緒に頑張ってみませんか?
 
※現在ねこちゃん向けのデンタルセミナーはありません😿お悩みは診察でお聞かせください😺
 
「どうやって始めたらいいのかわからない」や「やってみたけどうまくいかない」などのお悩みをお気軽にご相談いただける場です。飼い主様もわんちゃんも参加型で、実際に一緒に歯磨きをしながら、その子にあった方法やコツをお伝えします。
全年齢対象ですが、特に歯磨きをこれから始めようとしているパピーさんにはぜひ参加していただきたいレッスンです💫
 
ステップアップはスタンプラリー形式になっており、スタンプが貯まるともらうるプチプレゼントもご用意していますので、頑張って歯磨きに挑戦してみてください🪥🐶
ご参加お待ちしております😄
 

セミナー概要はこちら
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

https://vets-line.jp/web/joto-tsurumi-ah/3570/clinicinfo/event/dentalcare

このセミナーを特にお勧めしたい人🐶

歯磨きをしたことがないパピーさん
歯磨きをスムーズに始めるには、最初が肝心!!知識のないまま始めないで、一緒にゆっくりやりましょう。
歯ブラシを見ただけで逃げていく子
 
口臭が気になる子
お口の中の状態次第では診察をお勧めすることもありますが、まずは一度ご参加いただければと思います。
自分で歯磨きを頑張っているけど、できているのか不安な飼い主様
 

 

さいごに

歯周病はお口だけの問題ではなく、全身にも影響を及ぼす怖い病気です。
歯肉炎なら治療とケアで健康な状態にもどせますが、歯周病になってしまうと治すことができません。
デイリーなおうちでのケアをしっかりして、なるべく定期的に診察で歯の状態を診てもらいましょう。
状況に応じて、スケーリングなどの処置も早めに検討することをお勧めします。
 

参考文献
1)犬の治療ガイド2020 私はこうしている