小型犬が後ろ足のびっこをひいているときに考えられる疾患は?よくある骨や関節のトラブルとは
「犬が散歩中に後ろ足のびっこをひいている」
「犬がびっこをひいていて足が痛そうなので痛み止めをあげたい」
「小型犬がびっこをひいているけど、様子を見ていて大丈夫?」
小型犬がびっこをひいていたらこのように心配になる方は多いのではないでしょうか。
実は小型犬がびっこをひいているときは、足になにか異常があるサインかもしれません。
今回は小型犬が後ろ足のびっこをひいているときについて解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、小型犬がびっこをひいているときの参考にしてください。

びっことは?
一般的に広く使われている表現として、びっこという言葉があります。
しかし、このびっこという表現は最近では配慮が必要な表現です。
今回の記事では一般的な理解のために用い、医学的に跛行と呼ばれる状態を示す表現として説明していきます。
跛行とは、足を挙げていたりスキップするような症状のことを指します。
足を挙げるような仕草は整形外科的な疾患が原因であることが多く、足をひきずって歩くような仕草は神経的な疾患が原因であることが多いです。
小型犬が後ろ足のびっこをひいているときに考えられる病気
小型犬のなかでも、若齢犬か成犬かによって考えられる病気は異なります。
若齢犬でよくある後ろ足のびっこの原因は以下のようなものです。
・膝蓋骨脱臼(パテラ)
・レッグ・カルぺ・ペルテス病
・骨折などの外傷
一方で、成犬で考えられる原因には以下のようなものがあります。
・前十字靭帯断裂
・股関節脱臼
・膝蓋骨脱臼(パテラ)
・変形性関節症
・脊髄疾患
・リウマチなどの免疫介在性関節炎
・悪性腫瘍
これ以外にも爪の怪我や足先の皮膚トラブルでびっこをひくこともありますね。
上記のなかでもとくによく見られる骨や関節の異常について解説していきます。

膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼は膝のお皿である膝蓋骨が本来の位置から外れて脱臼してしまう病気です。
チワワ・トイプードル・ポメラニアンなどの小型犬にとくに多くみられますが、原因は分かっていません。
重症度によって4つのグレードに分類され、グレードが高い方が重症度が高いです。
グレードは症状によって分類されるわけではないため、見た目でグレードの判断はできません。
重症度が高くてもあまり症状がない場合もあれば、びっこをひいていてもグレードは低い場合もあります。
膝蓋骨脱臼は予防することが難しく、自然に治ることもないため内服や日常的なケアなどで様子を見ていくか、手術をするか選ぶことになります。
前十字靭帯断裂
前十字靭帯断裂は膝のなかにある前十字靭帯が切れてしまう病気です。
物理的な衝撃などで靱帯が切れてしまうと、痛みが出てびっこをひきます。
小型犬でも活発な犬や、肥満傾向の犬などに多いです。
放置してしまうと関節炎が進行したり、痛みからQOLが低下したりする可能性があります。
体重の軽い小型犬や、部分的に断裂している場合は保存療法で様子をみることもありますが、根本的な治療としては手術が選択されます。
レッグ・カルべ・ペルテス病
レッグ・カルべ・ペルテス病は太ももの骨の一部分である大腿骨頭という部分が壊死してしまう病気です。
1歳未満の小型犬に多い病気ですが、詳しい原因は分かっていません。
股関節を伸ばしたときに激しい痛みが生じることやびっこをひくことが多いです。
内科治療では根本的に治らず痛みのコントロールも難しいため、ほとんどの場合で手術が必要になります。
多くは片側に起こりますが、両側に起こることもあります。
放っておくと、筋肉量が落ちてしまい足を使えなくなるため、早めに対応することが大切です。
骨折
骨折は骨のさまざまな箇所で起こります。
とくに若い小型犬では、大きな外傷がない場合でも成長板骨折という骨折が起こりやすいとされています。
成長板とは骨を成長させるために、子犬や若齢期にみられる軟骨組織です。
成長板は軟らかい脆弱な組織なので、ジャンプなどの小さな衝撃でも骨折してしまうことがあります。
成長板骨折を放置すると痛みや成長異常に繋がります。
骨折した箇所にもよりますが、ほとんどの場合で整復手術が必要です。
変形性関節症
変形性関節症とは、関節にある軟骨がすり減ってしまい、骨や関節包に炎症が起こっている状態です。
原因はさまざまですが、関節への蓄積ダメージや老化などで進行していきます。
変形性関節症によって起こる関節内の変化は、一度起こると元に戻すことはできません。
変形性関節症は内科治療が適応になることも多いです。
内科治療の目的は、進行を緩めてQOLの改善・維持をすることになります。
変形性関節症の内科治療についてはこちらをご覧ください。
▶︎犬の整形外科って外科以外の治療はあるの?手術以外の選択肢|内科的治療について解説
よくある質問(FAQ)
| Q.小型犬がびっこをひいていて足が痛そう。人間の痛み止めをあげてもいい? |
| A.人間用の痛み止めは犬にあげてはいけません。 犬に人間用の薬をあげると中毒になる可能性があります。 犬用の痛み止めだとしても、骨折などの手術が必要な状態で痛み止めをあげると、かえって動き回るようになり状態が悪化する可能性もあります。 小型犬が痛そうにしているのであれば一度動物病院で診てもらいましょう。 |
| Q.小型犬がびっこをひいている。元気も食欲もあるので動物病院には行かなくてもいい? |
| A.動物病院に行った方が良いです。 元気や食欲はあっても、びっこの原因となる異常がある可能性が高いです。 様子をみたとしても、1〜2日経っても症状が改善しない場合は動物病院に行くことをおすすめします。 |
| Q.犬がびっこをひくことがあるけど、散歩に行ってもいい? |
| A.びっこの原因にもよるので動物病院に相談しましょう。 なるべく安静が必要な場合もありますし、軽度のパテラなどであれば適度な運動は筋肉量の維持にも繋がります。 散歩の途中で疲れて歩かなくなったり、足を挙げてしまうようなら散歩の時間・距離を調整しても良いでしょう。 |
まとめ
小型犬が後ろ足のびっこをひいている場合、骨や関節にトラブルが起こっている可能性があります。
小型犬のなかでも、子犬か成犬かによって起こりやすい病気は異なります。
骨折などなるべく早めに対応した方が良い場合もあるため、小型犬がびっこをひいているときは一度動物病院に相談することがおすすめです。
当院では整形外科に力を入れています。
小型犬がびっこをひいていてお悩みの際はお気軽にご相談ください。
大阪市城東区鶴見区の動物病院
城東鶴見どうぶつ病院
この記事の監修獣医師 脇谷知明

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業
東京都内動物病院 勤務
麻布大学付属動物病院 整形外科専科研修医(2022〜)
日本獣医麻酔外科学会所属
Fracture Repair on Toy-Small Breeds Course 修了(2023)
AO Vet Course – Principles of Small Animal Fracture Management 修了(2024)
Depuy Synthes TPLO SEMINAR 修了(2024)
膝蓋骨内方脱臼に対する関節再建ドライラボ 修了(2024)


06-6939-0350





