抗体価検査をしたら犬のワクチンは打たなくて良い?抗体価検査の注意点などについて解説
「犬の混合ワクチンは毎年打たないとダメ?」
「犬のワクチンアレルギーが心配」
「抗体価検査をしたら混合ワクチンは打たなくていい?」
このように犬の混合ワクチンに疑問をもつ方は多いのではないでしょうか。
今回は犬のワクチン抗体価について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、混合ワクチンについて悩んでいるときの参考にしてください。

犬の混合ワクチン
当院には以下の3種類の混合ワクチンがあります。

簡単に言うと、コアワクチンは全ての犬で必要なのに対して、ノンコアワクチンは生活スタイルや地域性によって必要性が異なるワクチンです。
コアワクチンで予防できるのは命に関わるような病気のため、全ての犬で必要なワクチンです。
一方でノンコアワクチンには重症化しない病気も含まれています。
上記以外にも、7種〜9種のワクチンを置いてある動物病院もありますが、含まれるレプトスピラの型の多さによる違いだけなので今回は省略します。
抗体価検査とは
抗体価検査とは、犬の身体にどのくらい病気に対する免疫(抗体)が残っているのかを測定する検査です。
通常ワクチンを接種すると身体のなかで、病原体に対抗する抗体ができます。
この抗体が病気を予防できるレベルに達しているかどうか、抗体価検査によって確認できます。
抗体価検査は今まで混合ワクチンによって副作用が出たことのある犬におすすめです。
結果によってはその年の混合ワクチンを受けなくて済みます。
しかし、とくに理由がなければ以下のような理由から基本的に混合ワクチンは年1回受けることをおすすめしています。
費用が高くなる可能性があるため
まず、抗体価検査自体は混合ワクチンの接種代金よりも高額なことがあります。
それに加えて抗体価検査の結果、混合ワクチン接種の必要があるとなればさらに費用がかかります。
ワクチンアレルギーなどの理由がなければ、最初から混合ワクチンを接種した方が費用が安く済む可能性があるでしょう。
抗体価検査を受ければ必ず混合ワクチンの接種が不要、というわけではないので注意が必要です。
WSAVAという組織では3年に1回のワクチン接種が推奨されていますが、犬にも個体差があります。
混合ワクチンが有効な期間も犬によって異なり、抗体価検査の結果1年に1回ワクチン接種が必要になる犬もいます。
証明書の提示が必要な場合があるため
ホテルやトリミングサロン、ドッグランでは証明書の提示が必要なことが多いです。
当院では抗体価検査の提示だけでホテル・トリミングの利用が可能ですが、そうではないケースもあるでしょう。
抗体価検査のみでサービスを利用できるのかどうかは施設によって異なります。
利用する施設のポリシーなどを事前に確認する必要があります。
レプトスピラのワクチンは
必ず1年に1回打つ必要があるため
レプトスピラに関してはワクチンの効果が1年もたないと言われています。
レプトスピラを含む7種以上の混合ワクチンを接種している場合は毎年1回混合ワクチンを忘れずに接種しましょう。
抗体価検査の注意点
抗体価検査では全てのウイルスが検査できるわけではありません。
抗体価検査で測定できるウイルスはコアワクチンである以下の3つです。
・ジステンパーウイルス
・パルボウイルス
・アデノウイルス
上記3種類のウイルスそれぞれに対して、抗体価が高いのか低いのかという結果がわかります。
抗体価が高ければ免疫がしっかり残っているということで、低ければ特定の病気に対する免疫が下がっているのでワクチンを打つ必要がある、ということです。
しかし、コアワクチンの抗体価が高くて混合ワクチンを打たないことにすると、ノンコアワクチンは予防できません。
現状では犬用のノンコアワクチンのみの製品はないため、ノンコアワクチンの部分もしっかり予防したいなら通常通りワクチンを接種した方が良いです。
ワクチンを打った方が良い場合・
打たなくて良い場合

抗体価検査の結果、抗体価が低ければワクチンを打つ必要があります。
一方で身体に免疫がしっかりある、という結果であればワクチンは打たなくて良いことになります。
ワクチンを打たなくて良い場合
3つ全ての抗体価が高い場合は、病気に対する免疫があるという判断でその年はワクチンを見送ることができます。
抗体価検査の結果、ワクチン接種を見送ることがおすすめなのは以下のような犬です。
・ワクチン後に重篤な副作用が出た犬
・ワクチン接種のリスクが高いと判断された基礎疾患のある犬・高齢犬
・感染リスクがほぼない生活をしている犬
ただし、以下の点に注意が必要です。
免疫の持続期間は不明
ワクチンを打たない選択をした場合、コアワクチンの抗体はその時点でしっかりあるという解釈になります。
しかし、どのタイミングで免疫が低下するかはわかりません。
翌年同じ時期に再度抗体価検査を受けるか、ワクチンを接種するか選ぶことになります。
ノンコアワクチンの部分は未検査
ノンコアワクチンの部分は、抗体価を調べる検査が現状ありません。
そのため感染するリスクがあることに注意が必要です。
ワクチンの副作用と感染リスクを天秤にかけてよく検討しましょう。
ワクチンを打った方が良い場合
検査で調べた3つの感染症のうち、1つでも抗体価が低く出ていれば混合ワクチンを接種しましょう。
理想的なのは、抗体価の低い感染症だけをピンポイントで予防できるワクチンを打つことです。
しかし、現在国内で主に使用されているワクチンは、複数の種類のウイルスを予防できる混合ワクチンです。
そのため、抗体価の低いものだけを予防するのは多くの場合難しいでしょう。
副作用などの既往歴があるのに
ワクチン接種が必要な結果がでたら?
以前混合ワクチンによって副作用が出たことがあるのに、抗体価検査でワクチン接種が必要な結果が出ることもあるでしょう。
その場合は獣医師としっかり相談して、以下の対策などをしましょう。
・ワクチンの種類を変更する:10種などの多価ワクチンから5種のワクチンなどに変更する
・前投与を行う:抗ヒスタミン薬やステロイドを投与してから混合ワクチンを接種する
・メーカーを変更する:別の製薬会社の混合ワクチンを試してみる
よくある質問(FAQ)
| Q.犬の抗体価検査は健康診断と一緒にうけられる? |
| A.うけられます。 抗体価検査は血液が検体として必要になります。 健康診断で血液検査がある場合、まとめて採血ができるため犬への負担も少なくおすすめです。 |
| Q.子犬も抗体価検査をうけていい? |
| A.おすすめできません。 子犬の時期は確実に免疫を獲得するため、抗体価検査でワクチンを打たないことを検討するよりもワクチンプログラムに従ってしっかりワクチンをうけることがおすすめです。 特別な理由がなければ通常通りワクチンをうけましょう。 抗体価検査は基本的に成犬になってから犬の状態によって検討されます。 |
| Q.犬のワクチンは毎年打たないとだめ? |
| A.理由によっては打たなくて良い場合もありますが、基本的に1年に1回の接種をおすすめします。 とくにレプトスピラが入っているワクチンは1年以上効果が持続しないとされているため7種以上の混合ワクチンは必ず毎年接種しましょう。 ホテルやドッグランなどでワクチンの証明書が必要な場合など、1年以内の接種歴が必要なシーンは多々あります。 ワクチンアレルギーがある場合などは抗体価検査を活用し、その年のワクチンは打たない選択肢もあります。 ただし、抗体価検査は全てのウイルスに対しての検査ではないため注意が必要です。 |
まとめ
犬のワクチンの抗体価検査は便利な検査ですが、注意点もあります。
全てのウイルスを網羅している完璧な検査ではないため、ワクチンの副作用と感染リスクを含めてよく考えるようにしましょう。
ワクチン接種は犬の状態によってさまざまな選択肢があります。
それぞれの犬に合ったオーダーメイドのプランを獣医師と一緒に考えることが大切です。
ワクチン接種や抗体価検査でお悩みの際はお気軽にご相談ください。
大阪市城東区鶴見区の動物病院
城東鶴見どうぶつ病院
この記事の監修獣医師
院長 脇谷俊佑

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業
大阪市内動物病院 勤務
城東鶴見どうぶつ病院 開院
近畿動物医療研修センター 画像科研究生
獣医教育・先端技術研究所(IVEAT)腹部超音波検査研修 修了
日本獣医がん学会 所属


06-6939-0350





